コラム
イタリアワインの格付け「DOCG」とは? 全76銘柄を飲むことはできるのか?
2022.05.27
イタリアワインのボトルの首には「DOCG」や「DOC」と書かれた帯が巻かれているケースがあります。これはイタリアワインにおける「格付け」を表しています。
なぜこのような格付けが存在するかというと、ワイン法により原産地名を認定し、産地やブドウ品種、収穫量、熟成の方法や期間といった細かい規定を設けることで、それぞれの地域の伝統的なワイン銘柄を守っていくため。日本でも夕張メロンや認定米などのような原産地呼称管理制度があるのと同様です。
ブドウ畑に掲示された「DOCG」の看板。この畑のブドウを用いてDOCGワインが造られる。
この記事では、イタリアのワインの「DOCG」に関連した格付けについて、イタリアソムリエ協会(AIS)認定ソムリエが解説します。
「DOCG」を最高としたイタリアワインの格付け
DOCG(ディー・オー・シー・ジー)はイタリアワインにおける最高格付け。日本語にすると「統制保証原産地呼称」となります。1980年に初めて制定されました。
イタリアワインではDOCGを最上位として、その下にDOC、IGT、Vinoといった格付けが続いています。
DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)
DOCGは、イタリアワインの格付けの中で最も厳正な規定とされています。この格付けを得るには、ブドウの生産地域や品種、最低アルコール度数などの細かい規定をクリアしていなければなりません。また、この格付けを申請する前に10年以上、一つ下の「DOC」を名乗っている必要があります。つまりDOCGはイタリアにおける「地酒の最高峰」と言えるでしょう。
イタリア全土のDOCG総数は、2020年4月時点で76。州単位でDOCGの認定を最も多く受けているのはピエモンテ州の18銘柄となっています。DOCGにはバローロやアマローネといった人気の高級ワインもあれば、生産者数が少ないため現地でもなかなか飲めないマニアックな銘柄も多数あります。
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DOCGワインのボトルの首には、それを示す帯が必ず貼られます。帯のデザインはかつて白ワイン、赤ワイン、スプマンテでそれぞれ異なっていましたが、現在は白地に茶色マークの帯で統一されています。
現在、DOCGワインに貼られる帯はデザインが統一されている。
イタリア地酒の最高峰となると、できるだけ多くのDOCG銘柄を飲んでみたくなるもの。しかし、生産量がかなり少ない銘柄も多く、そういったものは現地でさえ入手困難なのが現実です。果たして日本にいながら全ての銘柄を飲むことはできるのでしょうか? 答えは記事の最後で!
DOC(Denominazione di Origine Controllata)
DOC(ディー・オー・シー)は「統制原産地呼称ワイン」の意味で、イタリアワインにおける二番目の格付けです。この格付けを得るためには、申請の前に5年以上、一つ下の「IGT」である必要があります。
DOCは2020年4月時点で 334銘柄。イタリアの20州すべてでDOCワインが造られています。帯は青のデザインで統一されていますが、DOCGのようにボトルへの貼り付けは義務ではありません。
DOCワインであることを示す帯。
DOCの帯を貼るか貼らないか、その判断は各生産者に委ねられるところですが、実際には多くのワインに貼られていて、ぱっと見て分かりやすい印象です。
IGT(Indicazione Geografica Tipica)
IGT(アイ・ジー・ティー)は日本語で「地域特性表示ワイン」を意味します。ラベルには生産地域が記載されます。DOCG、DOCのように、ボトルの首に貼られる帯はありません。
IGTワイン。Indicazione Geografica Tipicaの文字とともに、生産地域がラベルに表示されている。
Vino
Vino(ヴィーノ)は品種や収穫年などを表示する義務がなく、規定に縛られずに生産・販売したい場合やテーブルワインなどの場合にあえてこの格付けを使用することがあります。
DOCGの全銘柄を日本で味わえる!
さて、この記事を読んでくださった方には「DOCGを制覇したい!できるだけ多くのDOCGワインを飲んでみたい!ユニークなイタリアワインをもっともっと楽しみたい!」と考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、マニアックなDOCGは一般的に入手困難なのが現状です。
そこでVino Hayashiが考案したのが「月刊DOCG」。DOCG銘柄のワインと、各ワイン産地を特集した旅マガジンがセットになった、毎月のサブスクリプション型サービスです。日本にいながらすべてのDOCGを制覇することができる夢のような企画が生まれました。ワインの詳細や生産者の声、現地の最新情報とともにお届けいたします。
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Vino Hayashiが現地ネットワークを駆使して輸入が実現した、全76銘柄のDOCGワインを巡る旅に出ましょう!
筆者:鶴岡 恵(つるおか めぐみ)
イタリアソムリエ協会(AIS)認定ソムリエ