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Freisa

フレイザ

フレイザ (Freisa)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:フレイザはピエモンテ州に古くから存在する最も重要な品種のひとつである。かつてはイタリア北部のロンバルディア州やヴェネト州でも栽培されていた。初出は1517年のキエーリの丘の南東にあるパンカリエーリという町の関税書類であり、他のワインの倍の価値があるとみなされていた。1798年にワイン研究者であるヌヴォローネ伯爵はフレイザを一級品の黒ブドウとして評価した。また、同じ年に出版した著書『ブドウ栽培について』の中では、フレイザで造られたワインは酒石酸が多いため幾度もの樽の移し替えが必要であると書かれている。更に、長期熟成向けのワインにおいて、ボディーをよりしっかりさせるためにブレンドとしてこの品種が使われることが記載されている。一方、エンツァ・カヴァッレーロ女史は、フレイザはエキス分が豊かであったことから、ペスト予防薬として知られていた「Tintura Sacra(聖なる塗り薬)」の材料であったと推測している。
18世紀に2種のフレイザのクローンが確認された。一つはフレイザ・ピッコラで、果粒が小さく酸味があり、タンニンが多く色が薄い。これは現在では発泡性ワインや熟成タイプのワインとしてよく栽培されている。もう一つはフレイザ・グロッサと呼ばれ、大量生産向けで、Neretta Cuneese(ネレッタ・クネーゼ)やFreisa di Nizza(フレイザ・ディ・ニッツァ)と同類だと思われていたが、別品種であることがわかった。
1861年、レオポルド・インチーザ・デッラ・ロッケッタ侯爵は、フレイザは様々な土壌に適合しやすく、生産性が高いため、消費用のワインが造りやすいとした。ヴェルチェッリ県にあるガッティナーラのような難しい環境でも栽培されていることがそれを裏付ける。うどんこ病やベト病に強いため、ピエモンテ州内にどんどん広がり普及していった。
ストルッキ氏などの研究者には長熟可能な「高級ワイン」として評価される一方で、ガッタ氏のように「フレイザのブドウは不味く、若いタイプのワインは心地よくない」と批判するものもいた。それは、耐性があるがゆえブドウに適していない土壌で栽培されたり、大量生産が行われたり、未熟のうちに収穫されたりすることもあり、レベルの高いワインに仕上がらないケースもあったからである。
シュナイダー博士は最近の遺伝学的研究の結果、フレイザとネッビオーロとが第一級の親族関係にあると見出した。特に果皮のアントシアニンのプロファイルが似ているとされる。フレイザは、ネッビオーロと知られぬまま絶滅したブドウ品種との交配でできた品種と考えられている。海外へ移住したピエモンテ人がそれぞれの移住先にフレイザを持っていったため、現在は少量ではあるがアメリカやアルゼンチンでも栽培されている。1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。

房:房の大きさは中程度で、長めの円筒状、岐肩を一つ持つことが多い。密着度は低め。果粒の大きさは中程度で、円形かやや楕円形。甘く、やや酸味もある。果皮は青みがかった黒色で、表面が蠟質の白い粉で覆われており、薄いが丈夫。ブドウは9月末から10月の頭に成熟する。

葉:葉の大きさは小さめか中程度で、三裂、まれに五裂している。表には毛はなく、濃い緑色。

外観:濃淡は比較的淡めでネッビオーロを思わせる。若い段階では濃いものもあり、ルビー色を基調とし紫の色調を帯びているが、数年熟成させると明るいガーネット色に変化し、場合によってはレンガ色を帯びている。色調の経年変化は早いとみられる。
栽培面積(ヘクタール) 1,041 ha
シノニム Freisa del Piemonte/Freisa Piccola/Freisa Grossa/Spannina/Monferrina/Freisa di Chieri
原産地呼称 DOC Freisa d’Asti/DOC Freisa di Chieri/DOC Colli Tortonesi/DOC Langhe/DOC Monferrato/DOC Piemonte/DOC Pinerolese/DOC Albugnano/DOC Canavese/DOC Collina Torinese/DOC Gabiano/DOC Malvasia di Castelnuovo Don Bosco/DOC Rubino di Cantavenna
ワインの特徴 フレイザを使ったワインに関しては好みがはっきり分かれる。質の高いワインだという意見もあれば、フレイザにポテンシャルを見出せないという意見もある。この品種は、マーケットの需要に適合させられてきたという経緯によって、辛口、甘口、微発泡と様々な醸造のスタイルが存在しているためである。バリックで熟成したもの、早飲みのフレッシュなものなど、同じ品種でも様々なタイプのワインが造られている。鮮やかで濃いルビー色、香りにはラズベリーやバラが感じられる。赤のスティルワインは中程度のストラクチャーを持つ。しっかりとした酸と心地よい柔らかさがあり、適度なアルコールも感じられる。
香りの要素 ラズベリー、イチゴといった赤いベリーの香りが中心にあり、ブルーベリーやブラックベリーなどの黒いベリーの香りが適宜重なる。スミレやバラの花の香りも特徴的。ハーブ、ベルガモットなどの柑橘類、スパイスの香りも感じられた。熟成が進んだものは干し草などの乾いた香りが印象的だった。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Taglieri di salumi(生ハム・サラミの盛り合わせ)/Primi piatti a base di carne(肉を使ったプリモ・ピアット)/Bagna Cauda Piemontese(バーニャ・カウダ)/Tajarin al tartufo bianco(白トリュフをかけたタヤリン)/Agnolotti al sugo d'arrosto(アニョロッティ・アル・スーゴ・ダッロースト)/Brasato(ブラザート:牛肉の赤ワイン煮込み)/Castelmagno(カステルマーニョ・チーズ)。
鹿・野ウサギ・ウズラなどのジビエ/中熟成のチーズ(パルミジャーノなど)/適度に脂分がありスパイシーでシンプルな料理。
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