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Nascetta
ナシェッタ
ブドウの種別 | 白 |
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歴史/概要/解説 | 歴史:ナシェッタはピエモンテ州ランゲ地方で栽培されている唯一の土着白ブドウ品種である。この大変珍しい品種は、ランゲ地方の中でもほぼNovello(ノヴェッロ)の村でのみ栽培されてきたと言ってもよい。 1879年にブドウ品種学者ロレンツォ・ファンティーニ氏の書いた論文『クーネオ県のブドウ栽培やワイン造りについて』の中で、ナシェッタが当時すでにノヴェッロのエリアで栽培されていたことが記載されている。当初、この独特な個性をもつ品種から造られるワインは、ドイツ・ラインガウの有名な白ワイン、「シュロス・ヨハニスベルク」と比較されるほど上質なワインとして認識されていた。 フィロキセラが発生した後ナシェッタは台木に植え替えられたものの、栽培が続けられたのはほんのわずかな区画のみであった。その上、収量が低く収穫時期も遅く、また病気にも弱いデリケートな品種を育てるのには高いコストがかかることから、戦後にはほとんど絶滅状態となり人々の記憶からも消えていった。 生産者の情熱とトリノ大学の協力のおかげで、1990年の後半になって少しずつ復活を遂げ、再注目されるまでに至った。2002年にはDOC Langhe においてNascettaの品種表示が認められ、2010年にはノヴェッロ近郊の5つの限定されたコムーネで生産されたワインはDOC Langhe Nascetta del comune di Novelloと表記できることが正式に認められた。 ナシェッタの歴史に関する情報はほとんどなく、古くから住む現地の人たちの言い伝えしか残っていない。ヴェルメンティーノ種あるいはサルデーニャ島産のナスコ種との遺伝関係を示唆する研究者もいるが、確かではない。 2001年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。 房:果房のサイズは中程度または大きめで、円筒形でやや密着型、1つまたは2つの岐肩を持つ。果粒の大きさも中程度または大きめで、楕円あるいは長球形。果皮は薄めでやや蠟質がみられる。黄色または黄金色で、完熟すると錆のようなシミが現れる。熟期は9月半ば~下旬。 葉:葉の大きさは中程度からやや小さめ、五角形で五裂している。葉の裏面には毛が生えている。 外観:グリーンがかった淡い麦わら色で輝きは強め。粘性は中程度からやや高め。 |
栽培面積(ヘクタール) | 21 ha |
シノニム | Anascetta |
原産地呼称 | DOC Langhe |
ワインの特徴 | 他の品種とブレンドせず単一品種でワイン醸造されることが多い。麦わら色がかった黄色をしており、花、りんご、柑橘類、トロピカルフルーツの香りが感じられ、ソーヴィニヨンやモスカートを想起させる。口中ではミネラルが感じられ、リースリングのようなハーブのニュアンスが現れる。小樽熟成にも耐えられ、5~10年程度の熟成ポテンシャルがある |
香りの要素 | セミアロマティック。レモンやグレープフルーツなどの柑橘のトーンを中心に、その成熟度により、りんご、かりん、白桃、ときにトロピカルフルーツなどがミックスする。共通して感じられるのがフローラルノート、白い花とはちみつにつながる甘い香り。その他、ハーブや鉱物的なミネラルの香りが印象的だった。 |
Vino Hayashi サジェスチョン (アッビナメント) |
Carne cruda battuta al coltello(牛肉のタルタル)/Vitello tonnato(ヴィテッロ・トンナート)/Insalata Russa(ロシア風ポテトサラダ)/Tortino di porri con crema di formaggi(ポロネギのトルティーノ チーズソース)/Toma DOP(トーマ チーズ)/Robiola di Roccaverano DOP(ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ チーズ)/Raschera DOP(ラスケーラ チーズ)/Pasta tradizionale Piemontese con ragù(ピエモンテ風ラグーのパスタ)/Tajarin con burro e salvia(バターとセージのタヤリン)/Ravioli(ラビオリ)/Coniglio alla Piemontese(ピエモンテ風ウサギの煮込み)/Spaghetti alle vongole(ボンゴレ・スパゲッティ)。 野菜やチーズソースのクリーム系リゾット/手長エビ・オマールエビ・カニなどの甲殻類の料理/ホタテのソテー/蒸し牡蠣/ローストチキン。 |