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Ruchè

ルケ

ルケ (Ruchè)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ルケは、主にピエモンテ州アスティ県カスタニョーレ・モンフェッラートを中心に県内で栽培されている。約30年前に再発見されたが、歴史は謎に囲まれている。名前の由来に関しては様々な説があり、その一つはRocche(岩山の意)である。岩山の粘土石灰質の乾燥した土壌でも問題なく成熟することができるという、その独自性からだと考えられる。二つ目は、サン・ロッコ礼拝堂の名にもなっている聖人、San Roccoへの信仰に由来しているという仮説もある。また、カスタニョーレ・モンフェッラートの近くにコンベント・デッレ・ロッケという修道院があり、修道士たちがローマ帝国の文化、美術を保護していたのと同じようにルケ種のブドウも守っていたため、この修道院の名が品種名の由来になったという説も存在する。さらには、他の品種のバルベーラやグリニョリーノと比べて、ウイルス感染症ロンセ(Roncet)に強いため、この病名に由来しているとする説もある。
ルケの起源は不明瞭であるが、一般的にはモンフェッラートが起源とされてきた。ブドウ品種学者のジェアーヴェ氏がルケは12世紀にブルゴーニュから持ち込まれたと明言するが、2016年のある研究所によるルケのDNAについての研究の結果、その主張は否定され、北イタリアの伝統的品種、Croatina(クロアティーナ)とMalvasia Aromatica di Parma(マルヴァジーア・アロマティカ・ディ・パルマ)と姻戚関係があるとした。
栽培されているモンフェッラートエリアの中では、ルシェ(Rouchet)、まれにロッシュ(Roche)のような方言やフランス語由来の様々な呼び名も存在している。1981年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された後、ルケはアレッサンドリア県にも少し広まり、ここではモスカテッリーナとして知られている。

房:果房の大きさは中程度あるいは大型で、細長く、岐肩は一つから三つあるものまである。密着度は低い。果粒は中程度の大きさで球形。グレーがかった紫色の皮は厚く、やや蠟質の白い粉で覆われている。収穫量は一般的に多く、斜面にある痩せた土壌が向いている。通常9月末から10月初旬頃に成熟。

葉:葉の大きさは中程度で、五角形で五裂か三裂している。葉の表側は明るい緑色。

外観:明るく透明感のあるラズベリーレッド色中心であるが、中には深みのあるガーネット系の色合いのものまであり、さまざま。全体的にオレンジがかっているものが多く、紫がかった色調のものは特に若いヴィンテージに限られた。粘性は強い。
栽培面積(ヘクタール) 100 ha
シノニム Rouchet/Roche/Moscatellina
原産地呼称 DOCG Ruchè di Castagnole Monferrato
ワインの特徴 ルビー色で、バラやゼラニウムの葉、野イチゴの香りが表れ、口中で優しく、心地よい。酸度を高め、長くワインを楽しめるよう少量バルベーラを入れることがある。ジャンシス・ロビンソン女史の『ブドウ品種ガイドブック』には、「ピエモンテ州の謎の品種。ネッビオーロ種と同じく香りの豊かなワインが出来上がり、タンニンが非常に強いため、後味に苦味が感じられる」と書かれている。香り高く上品な味わいのあるルケは「モンフェッラートの赤い王子様」とも呼ばれる。
香りの要素 アロマティックなものが多い。イチゴやラズベリー、ブルーベリーなどのベリー系の果実の香りと、バラ、スミレなどのお花のアロマ、そしてスパイスとハーブのさわやかさ。やや乾燥したニュアンスを感じたものが多かった。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Agnolotti(アニョロッティ:ラビオリのような肉の詰め物パスタ)/Finanziera(フィナンツィエラ:仔牛のレバー、鶏のトサカや内臓、キノコやトリュフなどをマルサラ風味に煮込んだもの)/Frittomisto Piemontese(ピエモンテ風フリットミスト)/Brasato(ブラザート:牛肉の赤ワイン煮込み)/Cinghiale in Umido(イノシシの煮込み)/Polenta con Spezzatino di Cinghiale(イノシシの角煮とポレンタ)/Formaggio di Media Stagionatura(中熟成タイプのチーズ)/Tartufo Bianco(白トリュフをかけた料理)。
赤身の肉料理/ジビエ/チーズ全般/アジア系のスパイシーな料理(ハーブやパクチーを添えたもの)/しっかりした味付けの魚料理(マグロの生姜煮など)。
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